読書備忘録2021-2『青年のための読書クラブ』/桜庭一樹

 2021年の2冊目ですね。ペースが遅いので上げていかないと今年も100冊無理だぞ??(『皇国の守護者』はぼちぼち進めており,シリーズ読み終わってから書く)

 さて,桜庭一樹は中坊時代に『GOSICK-ゴシック-』を読んで以来の付き合いです。この人だけは文章に少女漫画を感じるんですよね。これは本当になぜだかわからないんですが,ずっと画面端に薔薇が写っている感じ。テーマ設定もそれっぽいのかしらん。これは,ある架空の学園についての歴史を辿っていく連作小説という感じで,後になるほど様々がつながっていく感じが気持ちいいです。やはり短めの作品が一つのテーマ性を持ってつながっていくのが好きなところがあります。

 さて,これが好きな人は

『ブルースカイ』/桜庭一樹

も好きですね。というか桜庭一樹は本当に外れが無くて良い。

 

 では。

 

読書備忘録2021-1『【自己紹介】はじめまして、バーチャルCTuber真銀アヤです。』/草野原々

 明けましておめでとうございます。新年一冊目の読書備忘録です。新年になったということで,せっかくなのでナンバリングをリセットして,2021年のn冊目,という感じにしました。これでその年の読書数が分かるってもんよ,ガハハ。......いつまで続くか分かりませんが。

 さて,新年最初はこの一見「???」という感じのタイトルから。作者を見て分かる人はきっと分かるでしょう。悪いオタクの本です。ショートショートほどでは無いにしろ,かなり短いのでサクッと読めます。いきなり世界観の説明もなしに,読者を置いてけぼりにするかのような展開を詰めてくるのは流石という感じ。前半で「CTuberってなんやねん」となりますが後半で分かってくる。書きぶりは,ショートショートほどの短めのパッセージを断章みたく書き連ねていくもので,円城塔をかなり意識してそうな感じがします。まぁ悪いオタクっていうのは円城塔が好きがちなので分かります。それを思うと,個々の設定や小道具も円城塔っぽく見えてきて笑ってしまう。それも含めてやっぱり草野原々は好きですね。あと,小ネタとして『大進化どうぶつデスゲーム』の小道具の断片が出てくるのでこっちを知ってるとなおクスッとできる。

 この本が好きな人は

『道化師の蝶』/円城塔

『後藤さんのこと』/円城塔

あたりも好きそうですね。自分はあまり○○パンクに詳しくは無いのでアレですが,スチームパンクっぽい小道具もあったのでそういうのが好きな人もちょっと読んでみると良さそう。

 近況報告ですが,なぜか年末年始に積ん読増殖バグを引き起こしてしまい,積ん読が40に達しました。幾分かはマンガも含まれているのでそれほど大変ではないはず,と思っていますが,2021前半までには片付けたいものです......。

 それでは。

2020年bilibili動画ボカロ10選

 ども。bilibili動画でしかボカロ曲を漁っていないnaamって言います。せっかく年末なので,今年bilibili動画に投稿された中国ボカロ曲で10選をやろうと思います。レギュレーションとしては,向こうのぼからんと同じく,VOCALOIDエンジンを用いて歌唱を作成したボーカルが入っているものです。Synth Vなどのみは省きますが,デュエットはセーフってことで。ではやっていきます。

 

1. 万古生香【2020拜年祭单品】

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最近自分が言い続けている「国風音楽」系統からまずは一曲。国風のVOCAROCKです。リフのメロなんかはBPM遅ければ演歌にもなりそうなクサさがたまらない。ブリッジミュートを駆使してリズムを刻む感じなんかもVOCAROCKっぽい。

 

2. 【洛天依原创曲】我只愿爱你

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日本のボカロシーンじゃまず見かけない感じの曲。ジャンルがよくわからないんですが,キックのパツパツした感じとかスネアの軽めの音,ドロップの盛り上げ方とか,めちゃくちゃカッコいいです。

 

3. 【洛天依原创】我的悲伤是水做的

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ちょっとジャジーな感じ。自分はゆるだるミュージックという分類をしています。全体的にちょっとけだるい感じで,フォーリーとかチャカポコしたのとか気持ちいいです。間奏のトランペットがめちゃくちゃ良い。

 

4. 【言和角色歌】万言歌【2020言和生日应援】南亭阙

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たぶんFutureBassです。中国の楽器をふんだんにつかっており,ドロップでベースがモリモリ動くのが良いです。ボーカルの言和の声質もピッタリはまってて心地よい。

 

5. 【洛天依乐正绫言和墨清弦原创】创作者们的哀歌《塔与少女的无题诗》【αrtist5系列】【依溪禾、雨狸】

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これも日本のボカロシーンじゃまず見ない感じの曲。全体的にEpicで,圧倒的な奥行きがあり,ストリングスもパーカッションもすべてが映画音楽みたいに決まっています。Kalafinaとか好きな人はきっと好きだと思います。

 

6. 【洛天依原创】心碎烧酒

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往年のボカロ曲の雰囲気があり,めちゃくちゃ懐かしい気持ちになれます。アコギのアルペジオから入って,アコギの刻みとピアノの掛け合い,エレキも絡んできて,と正解の展開ばかりしています。この時代にこんな曲を作るのか,という気持ちはありますが,40㍍Pとか一時期のDECO*27とかが好きな人には絶対に刺さる曲。

 

 

7. 【初音未来】夏日!蓝白!波纹!【NINE】【Music Only】

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シティポップとかの系統なのかなぁと思うんですが,コード楽器とか刻み方から部分的にFutureBassっぽさも感じます。クラブ系の曲を作る人がシティポップみたいなのを作るとこうなるのかぁ,という気もします。

 

8. 【初音未来】39 MAGIC【Official宅男】【原创pv付】

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同じくシティポップ風味を感じる曲。ただ,こちらは展開の随所にジャズっぽさなんかも混ざっており,作者の幅広いバックグラウンドを感じます。投稿者の「official宅男」はなんなんだ,という感じですが。

 

9. 【洛天依原创】星愿存念「生愿还恋」Project【ft.徵羽摩柯】【十宫·TSAR·萤失Hinano·然然复然然】

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これもFutureBassっぽい感じでしょうか。TSARという人は向こうのAu5みたいな人なんですけれど,めちゃくちゃ曲作りが上手く,これもクラブ系なんだろうけどしっかり歌も入ってくる構成になっていてすごいです。動画がめっちゃ夜行性ハイズっぽいのは何なんだ......。

 

10. 【洛天依原创曲】万分之一的光

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今年のボカロ曲で一番良かったのは『ステラ/じん』なんですが,その次がこれです。公式の誕おめ曲ということで動画もめちゃくちゃ凝ってます。アコギやストリングスのからみ,2番サビあとの転調,ギターソロ,落ちサビ,すべてがポップスとして決まってます。じんとかryoとかポップスを作るボカロPの曲が好きなら絶対に刺さる曲です。

 

というわけで2020年のbilibiliボカロ10選でした。図らずもChiliChillさんという方の曲が3つも入ってしまったのですが,本当にいい曲を書く方なのでめちゃくちゃオススメしています。

 さて,日本でbilibiliボカロを定期的に掘っている人があまりにも少なくて嘆いているのですが,これをきっかけにして多くの人がbilibiliの曲にも親しんでほしいなぁ,という気持ちがあります。昔のbilibiliは転載ばかりでこれといって特徴もクソもなかったらしいですが,今では日本のニコニコと同じように一大プラットフォームになっています(まだ転載は大量に存在しますが,日本などの曲は無視してしまえばいいだけなので)。日本からも多くのボカロPが進出していますし,怖い場所ではないので,ぜひみなさまもbilibiliを覗いてみてください。

 

読書備忘録27『言鯨16号』/九岡望

 半年くらい前からずっと購入リストに入っていたのになかなか購入の機会が無かった本を遂に手に入れて(というか追加注文した積ん読を受け取りに行った際に偶然見つけて衝動的に買った)読みました。ありがとうブックオフ,年始に大量に売りに行ってやるから覚悟しとけな。

 "言鯨"と書いて"イサナ"と読みます。ストーリー的には,砂ばかりが存在する(砂漠が海と呼ばれる程度に)世界において,人々はその世界を創ったとされる言鯨の遺骸を中心に生活をしており,その言鯨があるきっかけで目覚め......,という感じ。詳しく話すとネタバレになるので曖昧にしておきます。「言葉」というものを中心に物語が進んでいき、ジャンル的にはファンタジーに近いと思います。ハヤカワから出ているファンタジー系のSFが9割9分9厘ツボなんですけれど,これもご多分に漏れずとても良かった。というか久しく味わっていなかった興奮を覚えました。最後にこの読了感を得たのは『屍者の帝国』以来かなぁという気持ち。ファンタジー色が強いのでSF特有のゴチャゴチャ感は少なめなのですが,最後の怒濤の展開ではSFっぽい設定も回収されてすごく気持ちが良かった。かなりおすすめです。

 さてこれが好きな人は

『骨牌使いの鏡』/五代ゆう

が多分刺さります。同じくファンタジー系統でちょっと近しいものを感じました。

 

それでは。

読書備忘録26『ギルガメシュ叙事詩』/矢島文夫

 自分はアジア史が大好きなんですよ,ローマ史も好きだけど。てなわけで有名な作品を読もうのコーナーです。

 この本はよくある解説本みたいなのではなく,完全に学術向けの日本語訳になってます。なので,これでギルガメシュ叙事詩の話の内容がすべて分かるかというとそんなことはない。ただ,古文書的なものからこういった物語を復元する際に,どんな手順を辿るのか,どういった類推をして不足部分を補うのか,といったことを知れるのは非常に興味深い。分野の人には当たり前でも門外漢には全く分からないものなので。自分はfateにあまり触れていないから頭をよぎるなどは全くなかったのですが,fateを知っていると色々おもしろさも増すのかなぁ,と思いながら読んでました。あとがきでの作者の情熱を垣間見られるのも非常によい。こういう情熱を持って生きていきたいものです。

 さて,この本が好きな人は,とりあえず『イリアス』とか『旧約聖書』も読むと良いんじゃないですかね。あと,少し方向性がずれますが,古の名作として『オイディプス王』はマジでおすすめします。正直そんなに文量も無いのですぐ読めるし。

 

それでは。

読書備忘録25『ラ・パティスリー』/上田早夕里

 音楽を聴きながらペラペラとめくっていたら読み終わってました。やはり電車による通学時間は虚無である一方で読書は捗ってしまう。

 第一印象は「上田早夕里ってこんなのも書くのか」でした。いままで『リリエンタール~』とか『華竜の宮』とかのSF色強めの作品や『薫香の~』のようなファンタジー系(とはいえ元ネタはまるまるSF)の作品しか読んでいなかったので、こういうライトなおしごと系は新鮮。お菓子作りを軸に話が進んでいくので、色々な用語が飛び交ってわりかし消化不良ではあります(お菓子だけに)。話の進み方は起承転結を絵にしたような感じで、本当にページ数を4等分くらいにして話が展開していった。書きぶりが軽妙なのはやはり良いですね。明治期の文豪みたく重たいのはもうしんどいです。巻末の広告を見ていると続き(というか関連本?)があるっぽいので、古本とかkindleセールとかで見つけたら買ってみようかなぁと思います。

 これが好きな人は

『こちら郵政省特別配達課』/小川一水

謎解きはディナーのあとで』/東川篤哉(カバーイラストだけで判断するな)

あたりも好きかも知れない。

 カバーイラストの中村佑介は個人的に好きなイラストレーターで、実は画集も持ってたりします。アジカンのジャケ、特に「君繋ファイブエム」のジャケが好きです。

 

では。

読書備忘録19~24

 すっかり読書備忘録を更新忘れていました。読んだ本はあるので、とりあえず読んだ本を列挙して一言ずつ感想を書いていきます。ナンバリングは読んだ順に今までの続きで書いていきます。

19: アラブの歴史/フィリップ・K・ヒッティ 岩永博 訳(上・下)

 アラブはもはやライフワークみたいなところがあるので。かなりごつい本なので読むのに時間がかかった。ともすればアラブはイスラム以後のことに注視しがちですが、イスラム以前にもかなり紙幅を割いていたのがいいですね。特にアラブ民族の中でもいろいろあるんだなぁというのが面白かった。

20: トネイロ会の非殺人事件/ 小川一水

 大好きな小川一水先生。いつものSF風味とは一転してミステリ系。短編なのも読みやすい。でもその中にあって「くばり神の記」なんかはちょっとSFっぽくて業(?)を感じますね。

21: 回転翼の天使 ジュエルボックス・ナビゲイター/ 小川一水

 また小川一水先生。これは郵政--系のおしごとコメディ的なやつですね。小川先生は、最初少し引き気味だった主人公が夢中になっていく構図が好きっぽく、またその展開も上手いと思います。

22: 天冥の標/ 小川一水(1 ~ 3)

 まーた小川一水先生。昨今のウイルスがらみで気になったところ、kindleでセールをしていたので1 ~ 3まで手に入れて読みました。めちゃくちゃ面白くて続きが気になるんですが、ちょっと長すぎて少しためらう気持ちもあり、とどまっています。ファンタジーとかおしごと系とかの小川一水先生が全部あってすごく良かった。

23: HUMAN LOST 人間失格 ノベライズ/ 葵遼太

 原案が冲方丁とのことで衝動的に手を伸ばしてしまった。ストーリー自体は冲方っぽいというよりは売れ線系のちょっと救いのない話にした量産型な感じが否めない。あと声優も売れ線を集めてきているっぽく、商業感満載だなぁという気持ち。

24: 皇国の守護者/ 佐藤大輔(1 ~ 2)

 これは現在進行形で読んでいる本。一年近く積んでいたのでやっと重い腰を上げました。戦記物が実は好物なので、めちゃくちゃ良いとなっています。どっかの議員さんが何とか......みたいなのがあった気がしますが、気持ちはわかる。これが好きな人は絶対幼女戦記も好き。

 

 という感じでした。実をいうと、「マンガで読破」のシリーズを5 ~ 6冊読んでいたり、キルミーベイベーを読んでいたりしているので実読書数はもう少しありそう。あと論文も今年は40報くらいかな......。とはいえまだまだ読んでいるので年内にあと1冊は固く、積んでいる皇国の守護者も続きを読もうと思います。さらに、電子で三体とかアステリズムに花束を とか約束の国があるので読む本には困らないですね。未来職安とかも読みたいと思っているし、今趣味の拡張をやっているのでそれの資料もバリバリ読んでいこうと思っています。勿論論文も!それでは良いお年を。

 

ノシノシ