2023振り返りと2024抱負

 2023年,年末に逆張りで順張りウイルスににかかるとかいう最悪をこなしてしまい,かなりしんどい。年末年始は布団の中で優しい世界(嘘)と向き合うばかりだった。振り返りをしようと思うものの,正直言って何月に何をしたみたいなのをほぼ覚えていないので雑に書いていくことになりそう。

 

1月

 年越しは実家の布団だったはず。新幹線が取れなかったために爆速で帰省を終わらせた記憶。2022末に地元のソフマップfengコンプリートアルバムが置いてあって衝動買いしたため,それを握って早朝の新幹線に乗っていた。部屋の掃除をしていたら前年無くしたと思っていた大好きな曲のCDが"iPadの空箱の中"から出てきて腰が抜けたのがハイライト。どんなとこにしまってんねん,そしてなんで掃除でそれを開けることになるんだ。

 

2月

 中国ギャルゲをやりこんだ。主にやったのは『台中国のミカドキジ少女』と『Fox hime』,どちらも日本語対応しているのでそんなに難しくなかった。台中国~はちょこちょこネタも挟まりつつで面白かった。設定もかなり好き。Fox~はよくある感じのギャルゲだったけれど,普通にストーリーは良かった。日本語フルボイスなのすごいわね。台中国~の方は続編ありげな感じで終わったので次回作にも期待。

 何故か家に電気式ピザ窯があるのでピザを焼いた。手作りのピザはパリパリで熱いうちに食べられるのでおいしかった。タバスコあまりがち。

 ハイライトは,Fandomによると,初音ミクの能力は「14歳の男の子と首ひげとワルイージを誘惑すること」らしい,ということをアレクサに教えてもらったこと。ちなみにYoutubeチャンネル登録者数は232万人で,Youtube収入は2860万円らしい。知らんかった。ところで一番脂ののっていたボカロ厨時代は14歳。関係ない話。

 

3月

 吉田音楽製作所のライブを観に京都に行き,その足で鴨川散歩部をした。その一週間後には千葉の南のほうまで行き,これまた鴨川散歩部をした。泊まろうと思っていた宿がエグイテの巣窟であったためあまりにも怖くて逃げだしちゃったのがハイライト。怖かったら逃げてもいいんだということを学んだ。

 中国からはボカロさんたち(V5×3人,V3×1人)をお迎えした。めっちゃきれいな化粧箱に入ったUSBメモリ付きカードスタイルで,かなりカッコよかった。カッコ良すぎてどこにもシリアルコード入ってなかったのでめちゃくちゃ焦ってサポート繋いでもらった。何とかなったのでヨシ!今はDL版が買えるのでそっちで買おうね。

 最後に,MU2023に行った。空港であんなことできる機会もう無いんだろうな~と思うと本当に良い経験。やや体調崩し気味だったため酒を浴びれなかったことが心残り。一番はやっぱりイノタクで,デコちゃんのリミックス流してくれた時に普通に泣きそうだった。ありがとう。ちなみにお土産は初音ミクアイマスク(なんで?)。

 

4月

 ジブリパークに誘われて名古屋に行った。ジブリパークは本当に"あの世界"が目の前にあって感動した。ラピュタのロボットがツタに覆われているのは本当にすごいデティールだった。子供のころから欲しかったタイガーモス号のプラモデルを買ってホクホク。他にもコンパルという喫茶店のモーニングを食べたり,バナナレコードに行ったり,おかげ庵で団子焼いて食べたりできたのはかなり良かった。ヤバすぎるので矢場町に来た,も回収できたし,文句なし。と見せかけてひつまぶしによって腹を破壊されたので名古屋めしは許さない。

 そしてこの4月末に『崩壊:スターレイル』とかいう今年一番のヤバゲームが出てしまい,その後の人生はあれよあれよという間に転落していった。ちなみに,一年(8か月)で353時間プレイしていたそう。カスか?

 

5月

 GWが超長期なのを利用して東北旅行を敢行した。人生で初めての東北。めちゃくちゃ良かった。八戸のハードオフに行ったので経ハードオフ値がかなり高まった。同行者の宿のチョイスがめちゃくちゃに良く,本当に助けられていた。自分は予定を立てることができないため,基本的に宿なしで特攻してどこかの駅前のビジホに素泊まりしたり,あまりの恐怖でそもそも旅行をキャンセルしたりするのでこれはマジの助かり。お土産の昆布,なかなか食べる機会が無くて困っている。

 原神くんのやる気が落ち始めたのがこのあたり。旅先で甘雨さん引いたからかな。

 

6月

 後輩に脅されて頼まれて輸入した中国から怪しい繊維(服)が届いた。ついでにバカの量CDと行っていないライブのグッズも。

 6月も吉田音楽製作所のライブにお邪魔する(という口実で)鴨川デルタで酒を呑んだ。おいしかった。ああいうことをもっと気軽にやれるかどうかで人生の価値が決まるような気がしてならない。

 

7月

 九十九里浜に行って夏を摂取した。過剰摂取しすぎて頭がくらくらしていたような気分だったが,おそらく熱中症である。

 おやすみプンプン一気読みをしてこれまた頭がくらくらしていた。これはHELLSINGによる上書きでなんとかした。

 ちまちまとではあるが,某企画に向けて短編小説を書き始めた。初めてではないが,執筆自体は10年ぶりとかで,そもそもまともなものを書いたことは無かったため,かなり苦戦をしていた。結果的には書き上げられたので良かったが。

 月末には会社で受けさせられた謎の試験に臨んだが,そもそも勉強時間が直前の一夜漬け8時間しかなかったので当然のごとく不合格。雰囲気はつかんだので,次は取っていく。

 

8月

 また中国からCDが3枚くらい(大量のグッズを添えて)届いた。いったいいくら使ったのか考えたくもない。目当ての曲は1曲だけだったのにな。

 盆には実家に戻ってダチと魂のカラオケをした。なんとこのカラオケが3年ぶりとかである。一人で行く機会なんてまずなく,歌が下手なのでそれ自体を行先として避けていた節はあるので致し方なし。かなり楽しかった。中二の頃に戻ったかと思ったが,サマータイムレコードで我に返り,ついつい号泣した。ありがとう。

 

9月

 某企画に小説を出した。個人的には好きなものをこん限り詰め込めたのでかなり好きなものに仕上がったので満足。別の某企画には2曲出すことができた。一曲は没曲なのでなんともしようがないが,もう一曲はそれなりに気に入っているのでなんとか完成させたい。ところでDECO*27そっくりさん記録は途絶えてしまったので誰か何とかしてくれ。誰もやらんのだろうけど。

 

10月

 狂ったようにスイカのゲームをやっていた。気が付いたら流行り終わってて悲しいね。末にはM3に行って様々なCDを買い込んだ,が結局あまり聴き込めていない。日本語萌えボーカルに飽き始めているのではという気がしてならない。そもそも萌えボーカルが好きなのかもしらん。

 M3終わりにやった魂の会話が魂すぎて本当に生きていてよかったの気持ちになるなどもしていた。

 

11月

 シロナガス島への帰還をやり,めちゃくちゃ面白かった。ビジュアルノベル最高!の気持ちになったため,積んでいた中国語ギャルゲを開始するが,進行不能バグにぶち当たってしまい,泣く泣く中断した。悲しい。

 DTMモチベがやや高まりを迎え,ちまちまと没を生み出し始める。形になりそうなやつが12月に生き残っていく蟲毒が始まる。

 

12月

 頭に炎上職場への長期出張を命じられ,すべてが破壊される。地元なので場所が悪くはないが,炎上の規模がアレだったり,一部人間関係がアレだったり,ホテル暮らしのストレスだったりで割と精神的に苦しむ。土日は布団から全く出れなかったり,眠れなかったりする。そして年末に病気をして現在に至る。仕事辞めてやるか。

 

抱負編

 2023年の苦しみの一つに,「自分の好きなもの」と「自分のやりたいもの」とのズレと同一化があった。これは前々から常々あったことではあるが,好きなものは好きなまま綺麗なままにしておきたくて,ところで移り気なやりたいことはそれなりにある,みたいな創作スタンスを取っていたため,基本的にあれこれやっては捨て,みたいなことを繰り返してきた。このサイクルのガタが来はじめたのがおそらく3月ごろで,好きなものの明確化(これはホヨバ作品のおかげだったり,中国アングラ文化への傾倒だったり)と並行して,『これらをやりたい(作りたい)』という気持ちが非常に強くなってきたのである。そうすると,非常にきれいで神聖なものとしておきたかった『それ』を引き付けて,分解して,といった作業をひたすらにこなさなければならず,かなりの精神的苦痛を伴うのである。音楽の例でいえば,耳コピ・分析が全然進まないとか,そんな感じ。うまくバランスを取れて作れた曲もあったものの,基本的には作曲作業も進むことなく,年末までだらだらと過ごしてきてしまったというわけ。これは本当に自分の怠惰さ,そして今の今まで向き合いから目をそらし続けてきた態度の悪さ,これが面倒くささ1000倍くらいになって帰ってきていると思う。だからこそ,2024年こそこれに向き合わなければならない。

 もう一つ,上に比べればそれほど大きなものではないが,「他人の好きなものを過剰に気にしてしまう」というのもあった。これは特に集団の中の声の大きな小集団が言うことに対して敏感になってしまい,結局自分は何がしたいねん,というところを見失う場面が割かしあった,ということ。特に自分が別に好きじゃない(むしろ嫌いの範疇に入りうる)を人がべた褒めしているときなんかに「へ~そうなんだ」で流せず,モヤ~っとしたまま会話からフェードアウトするみたいなこともあった(該当時誠に申し訳ありませんでした)。

 ということで,2024の目標は

  • 「好きなもの」を「やりたいこと」にするのならそれなりに向き合う,具体的には今好きでやりたいと思っているタイプの曲をちゃんと作り上げる(アイデアとしては2曲あるので2曲完成を目標)。
  • 言葉は悪いが,「あんたらが好き,そうかい。まぁ俺はこれが好きやけどな!」の態度をちゃんと取る。表現はしなくとも「俺はこれ嫌いやから!聴きとうもないわ!」みたいな気持ちを大事にする(好き嫌いをしっかり層別して自分の中で深く考えないようにする)。

でいきます。後者は変に口に出したりするとトラブルになりかねないので,あくまで自分の中にとどめておくだけです。「自分は嫌い」なだけであって,好きな人がいてそれに価値があるのは間違いないでしょうから。まぁ逆もまた真なりなので,そこも大事にしてもらえるとありがたいですね。

 

以上!

2023 best song of the year

2023年の良かった曲を10曲挙げるやつ,今年もやります。

 

1. 不安灵魂收容所 / ChiliChill

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 ほんとうに今年もChiliChillしか聴いてません(Spotifyのリスナー上位0.05%らしい)。これはbilibiliチャンネル(企画モノ?)のEDテーマらしいです。今年の流行りはデカコーラスで,これ以外にもコーラスの強い曲をよく聴いていました。サビ(イントロ)→Aメロ→Bメロ→サビの王道展開でテンションの上げ下げが本当に上手い。ChiliChillの盛り上げパターンとして,ウワモノはあまり増やさずに裏で鳴っているパーカッションのフレーズを複雑化させ,サビでウワモノ等を開放してはちゃめちゃにデカくするというのがあり,これもそれをいかんなく発揮している感じ。

 

2. 在风中与我追逐 / 臧无尤

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 晴れた土曜の昼下がりぽかぽか音楽ですよ!!!!!!!アコギ主体のカントリーな雰囲気に多重コーラス,驚かせすぎない程度に派手になるサビ前,ゆったり入ってくるブラス,全部いいですよね。若干パーカッション隊がうるさい感じはありますが,それは「ぽかぽか」への嬉しさ,期待として理解できる感じ。好きすぎる。

 ところで,概要欄の末尾に「インスピレーションを受けました!」といって 如果突然想起我 / ChiliChillを挙げてるのに笑っちゃいました。そりゃそうやろな。

 今年も一番聴いた曲であったところの,世界一良い曲かつ晴れた土曜の昼下がりぽかぽか音楽である 如果突然想起我 / ChiliChill はこちら。

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3. 准备好接受我的告白了吗 / 安可安可

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 またまた晴れた土曜の昼下がりぽかぽか音楽!!!!!!今年は豊作(去年の2倍!)でとてもうれしいです。これもアコギ主体,ふんわりブラスでめちゃ良いんですが,それに加えて二段サビ!好きなことを全部やってくれていてとても助かっています。

 ところで作曲者情報が全く分からず,しかもこのキャラクター平安銀行(中国の大手銀行)が発行しているクレカの公式キャラなんですよね。なにやってるんだ......。変身形態ですべてのタイプのケモナーに媚びていくの,嫌いじゃないですよ。

 安可の曲は全体に気合が入っており,想陪你度过每一个夏天 とかもかなり良いです("あの頃"の美少女ゲーソンみたいな感じ)。

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4. ▷▷▷▶ぶっとび かっとび 全開エンジン! / ツインターボ(CV. 花井美春)

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 今年のウマ娘もかなりやれてます。睦月周平なんですけど,こんなのも書くの!?って感じ。最近流行りの手数かなり多い感じ(トンデモワンダーズ,モンダイナイトリッパ-,というかsasakure.UKの明るいポップなやつ)みたいな展開をサビでやりつつ,ABなんかは周平得意のポップロック系アレンジにまとまっていてかなりすごい。聴いていてめちゃくちゃ楽しいし,全然飽きなくて好きすぎる。

 

5. 我不曾忘记 / 半甜气泡安小琪 & 花园花玲 & 沐霏Moeki_

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 ChiliChillのデカコーラス曲その2。サビで入ってくる児童合唱団のコーラスがマジでデカすぎる。あと,原神のスメール編を終わらせていると普通に泣きそうになる歌詞なのでずるい。全体通してほぼ小室進行(のはず)なんですが,小室進行の"切なさ"を最大限に引き出せるアーティストとしてChiliChillをほんとうに尊敬しています。

 

6. 你呀你呀 / 多多poi & 刘照坤Jock

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 ChiliChillしか聴いてない,本当に。これはディスコ系統のChiliChill。何でも作れて怖すぎる。パイモンと荒瀧一斗のキャラソン判定になると思うんですけど,二人(?)の関係がちゃんと出てて良い。歌詞は「お前,原神しすぎておかしくなっちゃってるよ!ちゃんと休めよな!」って感じなんですけど,頷きすぎて3回くらい首がもげて転がっていきました。「この星が明日爆発しちゃうなんてことはないんだぜ!」みたいな歌詞にほんのり救われる,そんな人生です。

 

7. 誰がためのヒーロー / Gero×JAM Project×堀江晶太

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 王者すぎるだろ。そもそもアーティストの文字列が異次元すぎる。期待を裏切ってこないイントロから大声が出てしまうタイプのやつ。JAM Projectの強みであるデカすぎコーラスを活かした編曲とパワーすぎるメロディ,バランスをとるかのような優しめのGeroの声,全部が合わさって本当に最強になっている。

 

8. さざ波 La Vaguelatte / HOYO-MiX & Cécilia Cara

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 原神のストーリー中の曲。ストーリーのネタバレが含まれるため深い言及は避けるんですが,ストーリーを踏まえて作中のアニメーションを見ながらこの曲を聴く(さすがにフランス語は分からないので字幕で歌詞を読む)とマジで泣けます。実際泣いちゃった。フリーナさん,クソガキだな~って思っていてすみませんでした。CVに水瀬いのりさんを起用するだけあってめちゃくちゃ気合入ったストーリーでした......。

(ところで自分はフォンテも好きだけれど,よりスメールの方が好きです,カロリーが高くて衒学的な言葉が飛び交うのが気持ちいので......。)

 

9. 燦々 / Afterglow

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 こんなんもうカゲプロですやん。カゲプロが揉めてる間に眠っている曲を他のところで使ってくれてありがとう......。"あの頃"をフラッシュバックさせるギターの音,『「しゃあないな」って目を伏せて 大人振ってしまう様な』とか,もう完全に狙ってますよ。チルドレンレコードのその先って感じですか?この歌詞の一番好きなポイントは,ラスサビになって初めて『私たち』という複数一人称が出てくるところで,最後まで人称を明示しないでいたところに一気に道を開くような印象があります。最近の自分の中でのマイブームとして,いかに人称を明示せずに歌詞を書くか,そして人称をいかに効果的に使うか,ということがあるため,ど真ん中ぶっ刺さった歌詞でした。ありがとう,じん。

 明らかにmixが怪しいけどじん以外考えられないメロとアレンジをしている由来不明のカゲロウデイズ-No.9-のテーマ曲,『draw feat. 洛天依』もよろしくお願いいたします......。(せめて本人が何かしらの言及をしてほしい)

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10. Shoulders / Mestie & Venoflame

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 最後は最近流行り(?)の光系統の曲から。中国にPHONO RECORDSというエレクトロ系のレーベルがあるんですが,そこに所属しているMestieという人の曲です。ポップでありつつカチャカチャした感じのパーカッションやカットアップ満載のサビが出てきてヒョってなりました。予想外のところから予想外のジャブで殴られた感じがあって衝撃的でした。うつろいかぎり / そぞろまる なんかも好き(だし殴られたような衝撃があった)なんですけれど,どっちかっていうとこっち系のガツガツしない(?)雰囲気の方が好き。避けていたわけではないけれどあんまり聴いていなかったこういう系統にかなり興味を引かれたこの一年でした。

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 以上,10選でした。相当にChiliChillが好きすぎる一年だったなぁという反省があるんですが,そのせいであまり新規digができていないところがあります。今年は初めての方向性の曲を作ってみたり,まだ完成していないけれどこれまでと決別する(したい)ための曲を作っていたりするので,今後はもっとdigを深めて新しいジャンルなどに挑戦していきたい!です。まずはphritzのpatreon入ってみようかなぁ......。

 

以下,10選には入れ切らなかったvery good songs(2023リリース)です。

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ChiliChillすぎる。これもデカいコーラスがうれしい。

 

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その昔,アジカンとかそういう系のアーティストが好きすぎた時期があり,つい最近それが「下北系」というジャンルらしいということが分かりました。当時のことを思い出しすぎてうわ~~~~って声を出してしまった曲。ありがとうぼざろ,観てないけど。

 

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堀江すぎるのに堀江っぽくない,好きすぎる。アイドルだなぁという感じ。

 

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アニソン枠。ゆるだる~な感じで好きすぎる。

 

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澤野弘之みたいな劇伴。ボス戦BGMなんですが,良い感じに戦闘を進めると第二形態になるあたりでデカいサビに突入するのでマジでアドレナリンが出る。久しぶりにゲームBGMで引き込まれた曲(ありがとうHOYO-MiX)。

 

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まふまふ一切関係ないのにまふまふすぎて三回ぐらい聴きました,嘘でめちゃリピートしてます。TLでよく見るアイドル,聴いたのこれが初めてなんですけど割といいかもの気持ちです(ところでありえない深淵が広がっており,怖いです)。

最近作った曲の話―アワー・サマータイム・アワー

 ども。第二回です。今回は「アワー・サマータイム・アワー」という曲。これはおよそ一年前に作って吉田音楽製作所のコンピに出してそれっきりの曲。ちゃんと投稿していない曲です!どこで聴くねんって話ですが,bandcampにあるので興味がある人は聴いてみてください。この曲だけなら別に買わなくていいです(コンピは買ってね)。吉音人なら普通にアクセスできるし,欲しいとかいうもの好きな人間がいたら連絡くれればあげます。

kitchon.bandcamp.com

↑の2曲目です。

 架空の夏の想い出を曲にするとかいう集団幻覚コンピをやるらしいと聞いて,強めの幻覚(と現実の狭間)やっていくか~~というモチベのもと作りました。作詞は謎の覆面作詞家であるところの楠 付点 四分休符さんなのでこの歌詞はかなり『回顧』の面が強いです。あとで歌詞の話をします。

 まずはリファレンスについて。明らかなリファレンスとしては「恋と微炭酸ソーダ」,「恋するトウィンクル」,「1・2・3」です。あとは明るく切ない系統のまふまふの曲を聴きまくって作りました。自分でもまふチルすぎて笑ってます。

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 展開(とメロ)は明らかに「恋と微炭酸ソーダ」で,「恋するトウィンクル」はサビのカノン進行の元ネタです。あとラスサビ入りは「1・2・3」です。まんますぎる。

 曲を作っていた時のこだわりの話。正直ほとんどないので薄いんですが,この曲を作っているあたりから,ギターフレーズにディレイをかけるのが好きになっており,Bメロなどでやっています。実は付点八分よりも四分の方が好きかも。ベースフレーズ,ギター,ドラムは完全に手癖なので語れることはありません!イントロのフレーズは一瞬だけブルーノート(?)になります。これが数少ないこだわりで,これをキー内の音にするとかなり興がそがれるな~と思いながら入れてます。このフレーズに薄くストリングスのハモリを入れているのは「恋と微炭酸ソーダ」の真似です。「恋と微炭酸ソーダ」良い曲すぎる。

 一番のこだわりポイントはサビのギターで,これは左右で別のことをやって全体として一つのコードにする,みたいなことをやっています。どっちがどっちだったかは忘れましたが,左右のどちらかは普通のオープンコードを弾き,反対側で9thを中心にしたテンション系の音を鳴らして,全体としてadd9とかの雰囲気を出すようなイメージ。なぜこんなことをやったかといえば,まふまふの写真集(とちょっとだけ曲とギターのことを語っている雑誌)でそんなことを言っていたからです。まふチルすぎるぜ。

 ボーカルの話。夏っぽいボカロといえばIAさんでしょ!の軽いノリでIAさんにしたところ,音域が合ってなさすぎて苦労しました。あと,かつてIAさんはめちゃくちゃVocal Tuningしやすいと言われていましたが,実はそんなことは無く,普通に難しいです。簡単に思えるのは,比較的簡単に『あの声』が出せるからで,割とクセの強いライブラリではあると思います。その点初音ミってやっぱすごいわ。画像は省略しますが,いつものようにノートをブチブチ切り刻んで手動ピッチ調整をし,書き出してmelodyneにかけています。ノート分割多用法ではやっぱり発音が弱くなるところがあるので,もう少しピッチラインを書く方法を探求した方が良いな~と思う次第。

 作詞の話。とりあえずどこにも歌詞全文が上がってないのでここに貼っておきます。そのうち歌詞置き場にも置くかも?

 

炎天下吹く温い風
湿ったシャツを揺らして
入道雲が僕らを追い越して行く

夕立が通り過ぎた
濡れた地面歩けば
太陽がまぶしすぎて目を細めた

見上げるほどの向日葵抜けて
跳ねる麦わら目印にして
飛行機雲が空切り裂いて
蝉の声遠く響いて
乾いた喉に水を流して
木陰涼んで無駄話して
ずっとこのままいられたらいいのに

忘れてしまわないように
思い出せるように
大人になっても話をしよう
「夕陽が落ちるまでは僕らの時間」
そう言って笑い合った あの夏の話

炎天はいつの間にか
高い空に霞んで
入道雲は僕らを置き去りにして行く

群青が枯れ始めて
オレンジ色遠くなっても
宿題なんて一つも終わらないまま

白紙のままのノート開いて
進まぬ筆を指で回して
冷えたジュースが汗を流して
解けない問い目を背けて
机囲んで頭抱えて
明日の僕らに答え任せて
今はこのままいられたらいいのに

忘れてしまわないように
思い出せるように
大人になっても話をしよう
僕らで描いていた手書きの夢
ちょっと恥ずかしいような あの夏の話

いつか僕らも
どこかそれぞれの道を
歩み離れてゆく
だとしても
いつまでも覚えている きっと

いつかまた出会えたなら話をしよう
大人になっても約束だよ
「夕陽が落ちるまでは僕らの時間」
そう言って笑い合った あの夏の話

ところでここからは,作詞担当の楠さんに出てきてもらって書いていきます。

 まず,この歌詞は全体的に『回顧』から成っています。『笑い合った あの夏の話』と言っているように,やや大人になった現在から未来を向きながら過去を懐かしむ,そういった風情です。Aメロでぼんやりした情景,Bメロで具体的な情景,サビで回顧のテーマ,という展開を意識しています。これは1番と2番で共通している展開ですが,時間軸は若干ずれていて,1番は夏休み真っ盛り,2番では夏休みの終わり時,そしてDメロラスサビにかけて未来を向きつつ最後の回顧をする感じ。"共通"と"ずらし"みたいなもののバランスは楠歌詞でかなり意識しています。

 いつもの対比の話。楠歌詞(なあむ歌詞)は,手癖としてほぼすべて1番2番で明確な対比(同系統または全く同じ言葉を置いて修飾(?)する内容を変える)を入れています。今回で言えば『入道雲が僕らを追い越していく』と『入道雲は僕らを置き去りにして行く』です。今回はこれによって時間経過のイメージと『追い越』され,『置き去り』にされるというイメージを与えています。入道雲は進んでいく時間で,僕らが過去に囚われていることを表現したつもりです。だからなんだという話ですが,ぼんやりとしたイメージでテーマ性を与えられるような作詞ができるようになることが目標です。Bメロの具体描写は連用連結(自分がこう呼んでいるだけ)を使って,体言止めとはまた違った,ぶつ切りにせずにシームレスに情景が流れていく感じを出そうとしています。2番Bメロは特に気を遣って書いた歌詞で,『明日の僕らに答え任せて』というのは,もちろん当時の自分たちが宿題なんて明日でいいや~みたく思っていたことを示していますが,やや大人になった(現在の)自分たちが『大人になる』というその事実から目を背けていることも暗示しています。こういう掛詞からしか摂取できない栄養素があるんですよ,絶対書いた本人しか分からないけど。

 残りのこだわりポイントですが,幼さを表現するための『見上げるほどの向日葵』とか『手書きの地図』とかのフレーズを忍ばせています。『大人になっても約束だよ』←自分でもこれにかなり食らっています。

 

 以上!勢いがあるうちに残り(4曲くらい)も片づけてしまいたい!

最近作った曲の話-StarTrail

 最近,曲を作っている(いない)のにあんまり公開していない気がしており,せっかくなら放流するかしないかは別にしていろいろ考えてたことを備忘録的に残しておこうかな~と思いました。

 

 てなわけで最初は投稿した曲から。(投稿してない曲は?)

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崩壊:スターレイルという(大流行中の!)ゲームの同人コンテストに出した曲です。自己満足の話として,その昔にNo-k.という音ゲー人格と曲を作る(ひとり合作)をflumptic名義でしており,久しぶりにそれができて良かったです。当時はあまりにも知識がなかった(今以上に!)ので相当にノリと勢いだけで作っていたところを,ある程度は考えながら作れるようになったかな~という思いがあります。

 ということで曲の話からやっていきます。いきなりですが,明確なリファレンスは「Infinity / Dark matter」,「双星轨迹」,「Reverse(溯)」,「星海漫遊 (PIKASONIC Remix)」の4曲です。あとはこれ系のMelodic Dubstep, Futurebassあたりをちまちま見てました。LS=_=が相当に好きでそれっぽいことやりて~というのがスタートの一つだったはず。

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 某氏からは「まっすぐFuturebass」と言われましたが自認はMelodic Dubstepです。改めて聴いたら全然メロダブじゃなくてワロてるけど(なにわろてんねん)。サウンドと展開はモロ「Infinity / Dark matter」で,サビ(ドロップ)2ループ目でトップのループが入ってくるのは「Reverse(溯)」ですね。あとはビルドの感じとか諸々を他の曲が,ってイメージです。あんまりよくない話,一部の音は「星海漫遊 (PIKASONIC Remix)」からサンプリングして加工して使っています。

 曲作ってた時のこだわり(?)の話。細かいところとしては,イントロのカツカツやってるのとかは列車の旅をかなり意識して,ホームを歩いている感じをイメージしています。あと,リバーブ多め広がり多めのパッドで宇宙感のようなものを出せるように頑張りました。LS=_=がめちゃくちゃにプラックの使い方が上手いので,それを参考にしながらプラックでの盛り上がり表現とかも模索しました。できてるかは知らんけど。最後にキックに重ねたチャリンみたいなフォーリーのこと。誰も気づいてないし興味もないと思うんですが,これが自分としてはかなり好きで,今後もちょくちょくやっていきたいです。

 一番のこだわりポイントであるサビのパッドについて。ここはスパソ系の音が4つくらい重なっています。低めのスパソ,高めのスパソ,質感のためのスクエア系のパッド,フランジャーでシュワシュワさせて左右に振ったスパソあたり。チュートリアルを見ながらの作業でしたが,この辺りをやっているときはまだメロダブの痕跡がありました。嘘じゃないです。

 ボーカルの話。これはSynthVの星尘infinityさんに歌ってもらっています。最近は初音ミよりも星尘さんの方が好きかも。真面目なことを言うと,SynthVはアップデートごとにボーカルのクセが強くなって(ピッチ挙動が過激になる印象),ベタ打ち段階での歌の下手さが目立つようになるうえ,エディター側での微調整がやりにくくなる(こちらは器用貧乏になっている印象)気がしており,これらのバランスが一番取りやすいのが星尘さんなんですよね。最近のSynthVさんは特に同音連打でのピッチぶれが大きくなっていてちょっと扱いづらいです。

 Vocal Tuningについて。SynthVに限らず合成音声全般について,デフォルトのビブラートは基本信用しない方が良い,というスタンスで普段やっています。曲によってはハマることもありますが,だいたいは違和感があるのでやり直しがち。今回は下の画像のような処理をやっています。

図1. 1サビ頭のノーツ

まず第一手として,ベタ打ちのノーツを全選択してマニュアルモードにし,描かれているピッチラインを全削除しています。そこから必要な部分だけパラメータからビブラートの振幅・周波数を入れ込むという流れです。VOCALOIDを長く触ってきているため,ことあるごとにノート分割をしてしまうのは悪い癖。しゃくり上げやフォール,語尾息などはなんだかんだ手動でやった方がタイミングとかつかみやすくて良いよね,というのがVOCALOID時代からの教訓です。エディターで整えた後はオーディオ化してMelodyneかけて微調整してます。当然っちゃ当然なのですが,細かいタイミング調整とかピッチぶれの修正なんかはそっちの方がやりやすいですからね。

 歌詞の話。歌詞の全体像は以下のリンク先の歌詞置き場に放流しています。

StarTrail - なあむの歌詞置き場 (hatenablog.com)

ちまちまとした歌詞のこだわりはあるのでそれについて書きます。まずは全体を通奏するテーマについて。作詞段階では明確に崩壊:スターレイルを意識していたので,それに従った作詞を意識しています。このゲームのキャッチコピー(?)は「この旅が、いつか群星に辿り着かんことを。」なんですよね。ということでスターレイルには終わりが明示されています。そのため,よくある「旅はこれからも続くぜ!」とか「俺たちの冒険はこれからだ!」みたいなのは先に封じられていました。おそらくはかなり長い旅路にはなるが,それは永遠ではなくどこかに終わりがある,ということで,正直自分としてはかなり苦しい作詞でした。サビの最後のフレーズは『夜を越えて』になっていますが,どう考えてもここが『どこまででも』になった方が座りは良いんですよ。けれどこれをしてしまうとちょっとテーマ性からの逸脱が激しすぎるので泣く泣くボツにしています(そもそも『紡ぎだす旅路はきっと この先もずっと続いてゆく』もかなりアウトに近いですが)。

 そのほかで言えば,列車組の星神であるところのアキヴィリは開拓の運命にあるわけなので,『くしゃくしゃの白紙の星図を ポケットに一つ詰めて』というフレーズがあったり,『憧れが道を拓く』というフレーズがあったりします。また,ストーリーが進むほど主人公たちには友人たちが増えていくので,そういう関係性が生まれていくことを『星座のように 繋ぐ想い』と言っていたりもします。あとは当然ですが,列車の旅なので『レールが導く』だったり『車輪の跡 軌跡を描いて』だったりします。余談ですが車輪の跡って轍って言った方が楽で簡潔ですけど,あえて回りくどい言い方するのも味があって良いですよね。

 最後にタイトルの話。気付いた人がどれくらいいるのか分かりませんが,このタイトルは『Star Trail』であり『Start Rail』でもあります。掛詞大好き人間としての活動は欠かさずやっていきます。

 

 以上!余力があれば今後も続くはず!

【不定期更新】Synthesizer V パラメータを理解する その2『ノートの隙間』

 ども。不定期更新の第二回です。早速パラメータじゃない話でワロタ。とはいえノートの置き方による挙動の違いはエディットの基礎なので仕方ないネ。SynthVのバージョンやらは第一回と同じ(というか特に言及しない限りずっと同じでやっていきます)。

 

第一回はコチラ。

t.co

 

 御馴染み[a] [t a]を連続で置いたとき,64分音符空けて置いたときの波形の違いを見てみましょう。

図1. [a] [t a]を配置した波形。上が連続,下が64分音符空けでの配置。

64分音符を空けて配置すると無音部分が無くなっているのが分かると思います。[t a]の子音[t]は無音が命の子音ですから,無音が無くなっているということは,発音が破綻しているということです。つまり,ちゃんとした発音をさせたいのならよほどのことが無い限りノート間に余計な隙間を空けない方が良いと思われます。

 さて,波形をさらによく見てみましょう。上の[a]は[t]の発音に食われて[a]の発音が4分音符よりも短い一方で,下の[a]はしっかり4分音符の終わりまで音が存在しています。これはどういう処理によって変化しているのでしょうか。

 これを理解するには打ち込み画面を見るのが分かりやすいです。

図2. 64分音符空けの打ち込み画面。

図3. 連続配置の打ち込み画面。

ノーツ下の音素と波形が重なっているところを見てみると,図2のノート間に[cl]という音素記号が入力されているのが分かると思います。なお,[cl]はSynthVにおける無音の音素で,[cl]入力の瞬間に音が止まります。VOCALOIDで言うところの[Sil], [Asp]ですね。したがって,SynthVではノートの隙間を見つけると,その隙間に[cl]という無音の音素を入れて無理やり音を切る処理をするようです。

  続いてはさらに隙間を空けていくとどうなるのかということを見ていきましょう。

図4. [a][t a]の間に64分音符を0~16個分入れてその変化を見た波形。

 再生時の縦線が入っているけど許して。何を当たり前のことを,という感じですが,隙間の無い一番上以外は,ほぼ[a]の発音がノートオフまで伸びています。ほぼ,を強調しているのは,よく見ると微妙に音が消えるときの抜け方が異なっているからです。64分音符11個分以上の隙間を空けたものでは特に明確ですが,[a]の発音の終点に向かって音量が減衰しているのが分かると思います。聴けばわかるのですが,この減衰はブレス(語尾息)が入っていることによるものです(SynthVを持っている人は同様の条件で試してみてください)。つまり,ある程度の隙間が空くと語尾息を入れるような処理が行われているのです。

 それでは,この語尾息はいったいどの程度の隙間から入れられるのでしょうか。語尾息の有無の切り替わりは図5のタイミングで,64分音符6個分の隙間では語尾息なし,7個分の隙間では語尾息ありのようです(ここはちょっと聴覚だよりなので微妙に違う可能性もあります)。

図5. 語尾息有無の切り替わり。

ということは隙間の長さが付点16分音符以下とそれ以上で語尾息の処理が異なっているということですね。......実は違います。ここにもVOCALOIDと同様の罠があります。そう,BPMシンクしない実際時間での処理です。BPMを240(今までの倍)にして先ほどと同じ位置を見てみるとこうなっています(図6)。

図6. BPM=240での64分音符6個,7個空け。

 波形に重なった音素表記でも明らかなように同じ音価のインターバルでも6個空けでは[cl]が入力されているという違いがあります。つまり,音価によって固定の処理ではなく,実時間で語尾息を入れるかどうかの処理を決定していると考えられます。実際,よく聴いてみると,BPM=240だと64分音符13個と14個が境界になっているように思います。

図7. BPM=240での語尾息ON/OFF境界。

BPM=240での64分音符13個は203.125 msec, 14個は218.75 msecで,BPM120での64分音符6個は187.5 msec, 7個は218.75 msecですから,ある境界値(実際時間)を挟んで処理を変えていると思われます。キリの良い200 msecが境界ではないようなのが気になるところではあります(もしかすると自分の調査が甘く,BPM=240の64分音符13個空けにも若干の語尾息があるのかもしれない)が,基本的には200 msec程度の無音時間を挟むと語尾息を入れる(単純に子音の発音準備時間+αの時間が取れるということでしょう)と理解するのが良い気がします。

 さて,今回の『ノートの隙間』は,よく考えてみれば処理そのもののやり方については当たり前と思えるところですが,実際にどの程度の実際時間が処理の境界になるのか,といったところはSynthV独自のポイントなんだろうと思います。参考までにですが,VOCALOIDではおよそ120 msecの隙間で隣接するノートの音を切る処理が入りますから,VOCALOIDよりは少し長めに時間を確保しているようですね。

 

 ということで第2回でした。今回はちょっと曖昧な書き方をしてしまっているので,細かい数字については間違っているかもしれませんが,基本的な処理の方法については間違っていないはず......。また,[t]以外の子音では語尾息を入れる時間が異なる可能性は十分にあります。

 次回もノートの置き方に関する調査として,ピッチ処理について調べていこうと思います。まとまるのがいつになるかは不明ですが,ゆるゆる調べていきます。では。

【不定期更新】Synthesizer V パラメータを理解する その1『長さ』

 どうも。Synthesizer V(以下:SynthV)おもろの熱が冷めないうちにちゃんと研究しようということで,成果をゆるゆると公開していこうと思います。更新は不定期の予定。

 

 第1回の今回取り上げるパラメータは,ノートプロパティの『長さ』です(図1)。

図1. 音素の長さ設定画面。音素ごとに設定できる。

 要するに子音や母音の長さを変えるパラメータです。VOCALOIDで言うところの『ベロシティ』[VEL]ですね。[VEL]は「子音が前の発音をどれだけ食うか」のパラメータであることはよく知られたもの(子音の「音量」ではない)ですが,SynthVの『長さ』も基本的にはそういった変化をするパラメータだと理解してもらって構わないと思います。ところで,VOCALOIDを使ったことのある人は分かると思いますが,この[VEL]というパラメータは,パラメータ値と実際の変化値との間に直観的でない関係性があります(図2)。

図2. VOCALOIDの[VEL](ベロシティ)の挙動。下の数字が[t a]のVELの設定値で,上が書き出した波形。

 このように,設定値によって非直線的に変化するので,直観的ではありません。定性的に理解するなら,値が大きければ変化は鈍く,値が小さければ変化が激しい,となります。ちなみに,この波形は初音ミクさんのものですが,他ライブラリでも基本的な挙動は変わらず,無音の時間が変わります。

 前置きが長くなりましたが,それではSynthVではこれがどうなっているかを以下に図を交えながら説明していきます。基本的には図に条件を書き込んでいますが,エディター本体のバージョンを書き忘れていたので補足しておくと,「Synthesizer V Studio Pro 1.8.1 Synthesizer V Engine 2.7.0」です。

図3. [a] [t a]の[t a]ノートにおける[t]の『長さ』を変更して書き出したもの。右の%表記の数字が設定値。

 黒い直線がパラメータの設定最小値と最大値の書き出し結果における[a]の終点を繋いだもの,赤い曲線が各設定値での[a]の終点を何となくの曲線で繋いだものです。これを見れば一目瞭然ですが,VOCALOIDの[VEL]と同様に直線的に終点が短くなっていないですね。つまり,SynthVもVOCALOIDと同じくパラメータ設定値と変化値との間の関係が非直線的です。また,その変化も値が大きければ変化は鈍く,値が小さければ変化が激しい,という[VEL]と同様の挙動です。ところで,値が大きいと前に食い込む長さが長く,小さいと食い込む長さが短い,というのは[VEL]と逆なので注意が必要です。SynthVがVOCALOIDのパラメータによる変化を真似したのか,ソフトウェアでの処理の都合上これが良いのか,そういった部分は寡聞にして知らないので置いておくとして,VOCALOIDを使っていた人間としては変化が同様なのは混乱しなくて良いとは言え,変化が直線的でないというのはやはり直観的でないので難しくもあります。

 それでは,前の発音である[a]の母音の『長さ』はどうでしょうか。

図4. [a] [t a]の[a]ノートにおける[a]の『長さ』を変更して書き出したもの。右の%表記の数字が設定値。

 図3とはパラメータ値の変化が上下逆になっていることに注意してください。黒い線と赤い線は図3の時と同じです。これを見てみると,[t]の長さと同様に非直線的な挙動をしていますが,やはり,値が大きければ変化は鈍く,値が小さければ変化が激しい,という[VEL]と同様の挙動です。一方で,[t]の長さの変化値に比べて変化幅が大きいですから,こちらの方がよりはっきりと違いを理解できると思います。また,値が大きい方が前に食い込む長さが短く,小さいと食い込む長さが長い,というのは[t]の長さとは逆で,[VEL]とは同じ挙動であることにも注意が必要です(考えてみれば当たり前ですが)。

 

 さて,『長さ』の挙動を理解したところで,実用上どうするのが良いか,という話になります。個人的には「大まかに前の母音の『長さ』で調整をする」のが良いように思っています。これは何よりも変化が大きい方が方向性を決めるうえで有効だと思うからですが,当然のことながら微調整のためには細々した変化の方が都合が良いので,そういった意味で「後ろの子音の『長さ』を調整する」ことも必要だと思います(玉虫色の回答)。注意が必要なのは,前者の考え方であれば,この母音の『長さ』パラメータは「後ろの子音がどれだけこちらを食うようになるか」というものだと理解した方が実用上良さそうである,ということでしょうか。

 

 以上,Synthesizer V パラメータを理解する その1『長さ』でした。その2もネタ自体はあるので検証してまとめようと思います。それでは。

2022 bilibili合成音声の良かった曲

 遅れに遅れたbilibili合成音声良かった曲の回,今更やります。今回のレギュレーションは広義ボカロになります(明らかに狭義ボカロ以外に良い曲が多いので)(bilibiliではもうすでにAceのAI合成の波がきており,狭義ボカロは駆逐されつつあります,かなしいね)。今回は,アーティスト(作編曲+作詞)の後ろにどのキャラクターか書いていきます。

 

1. 快乐手帐 / 盖盖Nyan [初音未来]

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 国風エッセンスを感じるボカポップス。とりあえず初音ミク可愛すぎワロタなので100億満点ですが,往時の40mPなんかを彷彿とさせるサウンド感のボカロ曲が最近少なくなったように感じているところにこんな曲出されたら惚れちゃいますよ,マジで。間奏のフレーズがあまりにも国風のそれなんですが,他のオケの編成でそれっぽく感じないのは良いのか悪いのか。ところでギターソロ良すぎワロタでした。

 

2. 布偶女孩 / DeRos刘师宇(MonsterDeRos迪罗斯)[洛天依]

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 3拍子future bass(たぶん)。2022年はbilibili合成音声音楽シーンで何故かfuture bassのリバイバルが来ていました(観測範囲の偏りの可能性がある)。その中でも独自性(?)の高い一曲。ボーカルめっちゃ高いのはボカロあるあるとして,3拍子が来た段階でこうなるとは思わないサビ(ドロップ)が来てかなりテンション上がりました。

 

3. 别害怕了 / 乱心 [洛天依]

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 またまたfuture bass。これはピアノバラードと見せかけて「そうくるか~」みたいなやつ。この曲は某氏の言う「光」のサウンド。スタンダードな音作りだとは思うんですが,雰囲気がかなり好きです。個人的にはビルド1(?)のスネア連打にもう少しノリがあると嬉しかったかも。

 

4. 扬旗鸣鼓 / 闹闹, LS [洛天依, 乐正绫]

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 最強の国風電音。イントロのチャイナパーカッション地帯が狂おしいほど好きすぎる。いわゆる日本の「中国っぽい」曲とは明らかに雰囲気が違って,おそらくはパーカッションなどのキメ方の癖だったり手数の多さだったりだとは思うんですが,やっぱり本場は違うな~という感じ。特にアホっぽい音の『コォーン』ってなる小さい鐘の音が好き。あとチャルメラ演奏してるあの人,シルエットで「あの人」ってわかるのずるすぎる。

 

5. 创作 / 鸽稀拉(公兔)[洛天依]

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 世界で流行っている(諸説)436系進行の曲。公兔さんは最近こういう曲を書きがち(昔はど真ん中ボカロックも書いてたのにな......)で,隙間の多いオケに対してけだるさを感じるようなメロと歌い方がめちゃくちゃ好きです。サビ頭で音を止めてオクターブ跳躍するのが狂おしいほどに好き。フレーズはシ(移動ド)を多用している(シ-ドの組み合わせが多い)が好きポイント。日本でもこういう感じの闇カワ系じゃない436系がもう少し流行ってほしい(春野,ボカロももっとやってくれ~~)。

 

6. 艳兽 / Darkness_Ten [乐正绫]

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 ボカメタル。結局ギターが激しく歪んでジャカジャカなってるとそれだけで気持ちいいしな。激しいギターと一緒に空間~って感じのピアノが鳴ってるのでさらに嬉しくなる。絶対マイファス好きでしょ。途中のリフで明らかに変なスケールになるのもかなり面白い気がしており,こういうフレーズをカッコよく入れられるようになりたいものです。

 

7. 晨昏线 / 虽华, Eli-Ven [诗岸]

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 普通に青春ロックすぎる。アニソンとかに理解がありすぎる曲です。もともと自主製作の美少女ゲーム主題歌だったっぽく,そりゃそうだよなみたいな雰囲気。ところでこの虽华さん,良い曲書いて可愛いゑも書けるのであまりにもずるい。自主製作ゲームのBGMも自分で書いていてほんまに何でもできてる。

 

8. 未知旅行FM / 兔子Jei, Dracaena [乐正绫]

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 中国あるあるである,年1か年2くらいでめちゃくちゃ良いディスコをリリースする,の一曲です。雰囲気としてはペルソナの曲に近い感じでしょうか。というかこの曲を書いてる兔子Jeiさんがペルソナっぽい曲を書きまくってる人なので当然っちゃ当然かもしれない。今一つ言語化できないけれど,夏っぽいディスコってペルソナっぽいかもしれない,しらんけど。

 

9. 季夏旋律~summer memory~ / 残元P, 深谷鈴音, 沈书情 [洛天依AI]

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 アニソン枠。おしゃアニソンとしてあまりにも完成度が高すぎる。ワクワク系のブラスがBメロでちょっと落ちてサビに突入するの,好き。普段よく聴く曲のスネアはもっとパツパツしてるのでこういう柔らかめのスネアをたまに聴くとやっぱいいよな~となります。曲とは一切関係ないけど何故かカタカナでタイトルロゴ作っているところに「モ」が「チ」みたいになってるのが狂おしいほど好き。怪レレI日本語最高!

 

10. Infinity/Dark matter / LS, 果汁凉菜 [洛天依]

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 今年一番良かったメロダブです(メロダブじゃないかも)。LSさんには毎度絶大な信頼を寄せているのですが,今回もそれを裏切らない最高の曲を出していただきありがとうございます。プラックの音作りがあまりにもうまい気がしていて,これになりたすぎる。キックにフォーリーをレイヤーしてるのも「そんなのアリなんだ~」みたいな音で好き。あまりにもデカいので窓ガラス割れるかと思いました,ほんとうに。

 

 以上,2022年のよかった中国合成音声界隈の曲でした!2022のfuture bassリバイバルがどこまで続いていくのか見守りながら,ポップス,ボカロック界隈の動きを注視したいと思います!