読書備忘録27『言鯨16号』/九岡望

 半年くらい前からずっと購入リストに入っていたのになかなか購入の機会が無かった本を遂に手に入れて(というか追加注文した積ん読を受け取りに行った際に偶然見つけて衝動的に買った)読みました。ありがとうブックオフ,年始に大量に売りに行ってやるから覚悟しとけな。

 "言鯨"と書いて"イサナ"と読みます。ストーリー的には,砂ばかりが存在する(砂漠が海と呼ばれる程度に)世界において,人々はその世界を創ったとされる言鯨の遺骸を中心に生活をしており,その言鯨があるきっかけで目覚め......,という感じ。詳しく話すとネタバレになるので曖昧にしておきます。「言葉」というものを中心に物語が進んでいき、ジャンル的にはファンタジーに近いと思います。ハヤカワから出ているファンタジー系のSFが9割9分9厘ツボなんですけれど,これもご多分に漏れずとても良かった。というか久しく味わっていなかった興奮を覚えました。最後にこの読了感を得たのは『屍者の帝国』以来かなぁという気持ち。ファンタジー色が強いのでSF特有のゴチャゴチャ感は少なめなのですが,最後の怒濤の展開ではSFっぽい設定も回収されてすごく気持ちが良かった。かなりおすすめです。

 さてこれが好きな人は

『骨牌使いの鏡』/五代ゆう

が多分刺さります。同じくファンタジー系統でちょっと近しいものを感じました。

 

それでは。