読書備忘録9『ヨーロッパ近代史』/君塚直隆

 今回も学術系。といっても通史をざっとまとめた感じの本なのでそれほどカタくも感じない。これでkindleでのちくま安売りで買ったシリーズおしまいです(もうちょっと買っててもよかった)。

 内容としては,ヨーロッパ近代史(ルネサンス以後)を生没年が繋がる3人(ミケランジェロガリレオニュートン)の生きた時代を中心にして通覧しています。視点としては科学と宗教の相克をテーマにしているようで,紹介する人物が宗教的にどのような考えを抱いていたのかと,科学的発展がそれにどう絡んでいくか,という考え方になっています。特にルネサンスの時代は宗教と技術が複雑な絡みをしている(しばしば宗教から自由になった芸術が言及される時代ですが,芸術家のパトロンは宗教に深く関わっているなどがある)ので,こういう視点も大事な気がします。案外科学の発展に大きく寄与した人も熱心な"カトリック信者"なんですよね。こういったところはすごく面白い。

 ちょっとだけ文句を言うなら,宗教を扱うのに1492年のレコンキスタ完了に触れないのはどうなのよ,という気持ちはあります。もしかしたら最近は重要視されていないのかも知れないけど。ともあれ自分の認識としては,レコンキスタ完了の勢いがそのままスペインの対外拡張の原動力になった,という感じなので違和感があった次第。大学受験以来通史をやっていない(近代建築史,冷戦史しか授業を受けていない)のでもう一回勉強したい気持ちが強くなってきました。でもヨーロッパ近代はあんまり好きじゃ無いんだよなぁ...。

 それでは。