今回は学術書(ちくま新書を学術書と見なさない説はある)です。以前のkindleセールで衝動買いしていた一冊。自分は歌詞を書くオタクなので,日本語に対する感覚は常に磨いていたいと思っており,そのためにも購入していました。
内容としては,古代から近代(少し現代)までの日本語の変遷をまとめた一冊になります。学術系の本なのでネタバレもクソもないと思って書くのですが,文献から書き言葉だけでなく話し言葉まで推測しており,音韻まで踏み込んだかなり内容の濃い一冊です。時代ごとにまとまっており,後に一般化する当時の誤用なども記述されているので,「この時代ふうの文章を書きたい」などと思ったときにもかなり有用だと思います(そんな需要があるかは別にして)。特に音韻は地方方言と中央での発音の違いなどにも踏み込んでいて,発音記号もきちんと表記されているので参考になる(ボカロオタク並感)。
特に印象的だったのは係り結びの項で,連体形で終わる場合「後に体言が来るようなイントネーションで終わることで余韻が得られる」というあたり。おそらく現在ではあまり意識されていない(というか自分も全く意識していなかった)のではと思う次第で,日本語の音声的に見た表現技法はやはり韻が主ではないのだ(言葉足らず感アリ...),という信念を強くしました。要は韻を踏むこと以上に日本語表現に重要なことがあるだろ!ということ。この辺は歌詞にも生かせると良いですね。
さすがに学術書に他のオススメとかは出来ないので今回はこれにて終了。ではまた。