読書備忘録2021-22『アメリカン・ブッダ』/柴田勝家

 柴田勝家の本です。そう,あの戦国武将です。冗談はさておき,割と推し作家でもある方ですが,初めて短編を読みました。生協の本屋でジャケに惹かれて衝動買いした一冊で,久しぶりに紙書籍を買ったなぁ,となりました。やっぱり表紙がしっかり見られて軽く厚さなどを確認できる紙書籍は良い。もちろん電子にもいいところはありますが。

 軽く触れたように,これは柴田勝家の短編集です。表題作『アメリカン・ブッダ』はほんのりと某ホーガンの『内なる宇宙』とか『マトリックス』,ドラマ版『未来日記』を彷彿とさせました。全体を通して,作者のバックグラウンドである文化人類学的な素養("TRIBE"とでも言えばいいんですかね)を感じます。一般的なSFと違うのは,いかにもな未来的技術に加えて「それを用いることで生まれた文化は?」とか「そもそもの生活と技術の融合は?」みたいな問いかけにあふれている感じ(特に『雲南省スー族におけるVR技術の使用例』)です。かといってSF的な部分が弱いとかは全くないので本当にすごい。

 あと,本編とは関係なく,あとがきで紹介されていた柴田勝家の人となりが本当に面白くて爆笑してしまいました。ぜひこの作品を読むときはあとがきまでしっかり目を通すことをお勧めします。本名もさらっと公開されていたのですが,マジで男性アイドル育成ゲームの登場人物みたいで変な声出ました。

 さて,これが好きな人は

『ニルヤの島』/柴田勝家

はまず読んでいただきたい。文化人類学×SFで本当にすごい作品です。個人的にはドラマ版『未来日記』も好きなんですが(お前いっつも言ってんな),世間的には評価があまり高くないようで......。

 それでは。