読書備忘録4『青い星まで飛んでいけ』/小川一水

 以前の備忘録の中で小川一水に少し触れたので読みたくなっちゃった(これは嘘で,積ん読として2か月居座っていたので消費しなきゃとなっただけ)。またまた短編集です。テンポよく読めるのもあって最近はラノベ(広義)や短編集ばかり読んでしまいますね。同じく居座っている『サクラダリセット』を早く読まなければならないんですがなかなか重い腰を上げられない。

 全6篇の短編が納められた作品で,それぞれに小川一水節が炸裂していて好きな人にはたまりませんね。個人的に,小川一水はSF的恋愛小説が上手い人だと感じていて,特に何度も触れている『フリーランチの時代』はそういったSF恋愛小説として素晴らしい作品です。勿論,『復活の地』みたいな長編の作りも非常に上手いです。この短編集は,それぞれのストーリーが独立しているものの,様々なアプローチから「恋愛の形」を示しているという意味で連作として見ていける作りになっていると思います(『占職術師の希望』だけはちょっと異色かも)。ド直球な肉体的な愛から精神的な愛,果ては知性体の愛(こんな言い方すると円城塔を思い出してしまう)まで,幅広い愛の形を示した作品になっていると思っています。特にオススメなのは『守るべき肌』で,ベースになっているのは非常にオーソドックスな「肉体を捨てた人類と物理的肉体を保持する人類」が出てくる話になっているのですが,ともすれば重くなりがちなテーマを非常にあっさりと解決していく(悪く言えばさらっと終わらせる)あたり,とても好みです。

 さて、この本が好きな人は

『フリーランチの時代』/小川一水 (こいついっつもオススメしてんな)

『妙なる技の乙女たち』/小川一水

『約束の方舟』/瀬尾つかさ

あたりでしょうか。『約束の方舟』は自分を沼に突き落とした作品なので無限に人にお勧めします。ではまた。