読書備忘録2021-31『呪術廻戦 逝く夏と還る秋』/ 芥見下々,北國ばらっど

 小説版にも手を出しちゃったんだな。すっかり呪術にハマってしまっています。こんなに面白いと思ってなかった。

 説明文にもあるように,呪術廻戦単行本の2巻と3巻の間あたりの話です。推しであるところのナナミンの出張の話とか伊地知さんのお仕事の話とか盛沢山でかなり面白かった。正直そこまで期待してなかったんですが,予想を超えてくる良さがありました。かなりキャラの深堀がしてあり,しかも(当然っちゃ当然ですが)時系列的な矛盾もないので原作を読んでからサブストーリーとして読んでめちゃくちゃ楽しいタイプです。全体的に軽い書きぶりなのでサクサク読めるのもいいところ。電車の中で1.5時間で終わっちゃいました。

 漫画原作の小説版を今までほとんど読んだことがない(バトスピはあるけどあれは漫画原作と言いにくいような気がしなくもない)のでお勧めはあまりできそうにないっすね。一応かなり昔にリボーンの小説版を読んでいたのですが完全に内容を忘れました。てなわけで今回はこれで。それでは。

読書備忘録2021-30『未来職安』/柞刈湯葉

 職がないので職安のお世話になるかも知れないです。それはさておき今年に入ってからかなり良い感じのペースで本が読めているんじゃない??

 (そんなに先とも思えない)未来の話。ベーシックインカム的なそれが普及し,ロボットなども発達することで人が働かなくても良くなった時代に働く人の話です。人間の仕事が責任を取ること,ってのがまた良いですよね。おしごと系といえば自分の中では小川一水先生なんですが,少し毛色が違ってこれはこれで好き。こういう短編連作の良いところは主人公共有でネタのある限りずっと続けていけるところだと思うんですよ。もちろん途中で長めのやつを入れても良いし。何が言いたいかというと,続編が出て欲しいなァ~~~,ということ。

 さてさて,これが好きな人は

『こちら、郵政省特別配達課』/ 小川一水

『浜村渚の計算ノート』シリーズ/ 青柳碧人

あたりも良いのかも知れない。サクッと読めてエンタメとして面白いので。

 それでは。

読書備忘録2021-29『京大変人講座―――常識を飛び越えると、何かが見えてくる』/酒井敏ほか

 kindleで安売りしてたので。あとお世話になった先生方がいっぱいいたので。

 てなわけで某変人講座の書籍版です。実は自分はこの講座に1度しか行っていないので話としては初耳なものも沢山ありました。書きぶりは「簡単に」を強く意識している感じで,入門書的な色合いもあったように思います。ただ,紹介されている研究内容は教授方の研究対象ど真ん中というわけでもなさそうなので,これで指導教員を考えるなどする人(たぶんいないけど)は要注意でしょうかね。というかかなり主流からずれたことをやってそうな方もいたのでよい子はちゃんと基礎的な部分もやりましょうね,というお気持ち。地質学なんて特にそうです(小木曽先生の話は基礎的な部分でしたけど)。

 全体として面白い読み物として良い感じだと思いますが,知的好奇心を満たすものとしてはイマイチかも知れない。多分そういう方面に意識が向いてないと思うので良いと思いますが。

 本として異色なので今回はオススメは無しで。それでは。

読書備忘録2021-28『Fと成りうる者』/初瀬明生

 いつもとは毛色異なるホラーもの(偶然川柳)。てなわけで今回はちょっと息抜き的に短編です。

 ホラーものを本当に読まない(おそらくまともに読んだのは『Another』/綾辻幸人 くらい)のでとても新鮮。タイトルで森博嗣を連想してしまったんですが,リスペクトとかも感じず,内容は全然関係なさそう。根底に「恐怖は伝染する」的な思想があるはずなのですが,ホラーの主役そのものにもそれを反映させているんだと思います,多分。個人的にはもっとたくさんの人が巻き込まれていっても良かった気がします(ぜったい『Another』の影響)。それはさておき,タイトルのFはいったい誰なんでしょう,ネタバレになるので深くはアレですが,もし自分の予想通りなら少し拍子抜けです。

 さて,お勧めするならやっぱり

『Another』/綾辻幸人

『バイロケーション』/法条遥

あたりをお勧めします。2つ目はあんまりホラーじゃない気がする(法条遥がSF畑の人なので)のですが,角川ホラー文庫から出てるのでそういうことにしておきます。

 それでは。

読書備忘録2021-27『科学哲学への招待』/野家啓一

 また学術書シリーズでございます。科学哲学もやっぱり押さえとくべきだよなー,っていうモチベ。それ以上でもそれ以下でもない。

 モチベ的にそれほど期待していたわけではなかったんですが,ことのほか楽しめ,特にポパーの議論が印象的でした。地球科学なんてやってると「正しい」なんて絶対分からなくて,証拠を一番説明できる説が一般に信じられる訳なんですが,まさにポパーの科学哲学観であるところの反証可能性云々の話だなー,と(細々した用語は覚えきれないです,もうすっかり頭が弱ってるので)。例を挙げるとするなら地向斜プレートテクトニクスとかでしょうか(微妙に違うかも知れない)。最近の肌感覚からすると,ホフマンの『スノーボールアース』もちょっと怪しいんじゃないかという話もあります。ともかく,基本的には『反証がないから暫定的に正しい』という立場になるんですよね。他の分野だと違うこともあるんですかね。もしかするとたまーに科学観で話が合わないことがあるのはそういった部分にあるのかもしれないなどと愚考してみたりしなかったり。

 さて,やっぱ学術書のオススメなんてできないっすわ。科学哲学の良書とか知らないし,他の分野にしろ自分の理解が及ぶ範囲が少なすぎる。もっと勉強しないといけませんね。

 それでは。

読書備忘録2021-27『裏世界ピクニック6 Tは寺生まれのT』/宮澤伊織

 霞ちゃん......。いきなりオタクの呟きが出てしまいましたがぼくは元気です。またまた読んでしまったことになります。これで現段階での既刊はすべて読んだことになるはず。

 今回はかなりこれまでと毛色が違う印象が強いです。今までは『裏世界と関わることによる悪影響』が主軸となって描かれていましたが,今回は『裏世界との関わりが断ち切られることによる悪影響』とも言えるものが描かれています。ずっと言っているように,どんどん裏世界に引き込まれてしまうが故に『其方側』に染まっているという感じなんでしょうか。ともあれここにきててこ入れが入ってきてまたまた面白くなってきました。冒頭の呟きに戻りますが,これから霞ちゃんがどんなふうに物語に絡んでくるのか楽しみですね。ほんとうに。

 ここからは近況報告ですが,勢いでBLEACH全巻買っちゃいました&読んじゃいました。やっぱめちゃくちゃ面白いですね。あと単純に久保先生の絵が上手すぎる。あんなカロリー高そうな絵が週刊で連載されていたというのが本当に信じられない。実はついでにBURN THE WITCHも買っちゃったのでそちらも楽しみにしながら生きています。そうこうしてると今度はHUNTER×HUNTERが読みたくなってきちゃったし,ジョジョとかNARUTOも欲しくなってきちゃう。ほんとうに良くない。

 それでは。

読書備忘録2021-26『クリスタルガード・テンマ 1 小説版: ゼロ分子編 』/峭ノ轟,後藤博之

 kindleストアの無料本で見つけ,「SFっぽい!とりあえず買って読も!」的なノリで買っちゃった一冊。まんまSFで自分の嗅覚をさらに信用するようになりました。軽く情報を調べてみると,どうやら『クリスタルガード』という車用のコーティング剤のおまけとして書かれた本らしい。道理でなんか聞き覚えがあった訳です。

 さて,内容はといえば,コーティング剤にナノマシン的サムシングを配合することによって車をハイテクマシン化させることが可能になった近未来,といった感じでしょうか。割とリアリティがあって面白いです。オープンソースを改変してさも自社開発のように振る舞う会社とか実際にありそうでクスッとしました。全体的な印象としては,けっこうハリウッド的(というかマーベル?)だなぁという感じ。日本だとあんまり変身のこまごました部分は描かない印象。

 ちょっとだけ気になったのは,文章全体を通して英語が多い(くせにちゃんと後ろで和訳しているのダサいような......)こととルビを括弧書きにするのはちょっと違うような......というところ。けっこう好みの問題かもしれない。

 今回もオススメやるやつはなしってことで。なんか最近馬鹿みたいに本を買っているのでバシバシ読んでいきます。では。