読書備忘録2021-6, 7『裏世界ピクニック3 & 4』/宮澤伊織

 何か読み終わった後悶々としている内に次も終わっちゃったんでまとめて書きます。

 最近読み続けているシリーズ,kindleでまとめて買ったときになぜか5だけ入っていなかったのでここでいったん買っている分は終わりです。ストーリーはすごく面白くなってきました。張り巡らせていた伏線なんかを少しずつ引っ張ってきたり,新しいものを伏線にしたりなど,厚みが出てきて良い感じです。ただ,やっぱりこの百合感が個人的にしんどい。だから悶々としてたわけです。もっと葛藤していて欲しいし,空魚の方にはもっと深刻な負い目を感じて欲しいし,鳥子の方にはもっとメンヘラ的な依存を示して欲しい。最初っから百合を売りにしている感があるので自分はターゲッティングされてないと思っており,作品を貶すつもりは一切無いです。そもそもストーリーめちゃくちゃ良いので貶すところないし。次の巻では八尺様がまた出てくるらしく,一度使ったネタを2度目にどうやって処理してくるのか楽しみです。

 それでは。

読書備忘録2021-5『裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト』/宮澤伊織

 裏世界ピクニック,テーマがテーマなのでインターネットに浸かっている人間的にはやはり楽しい。てなわけで2冊目です。どんどん裏世界に近づいて言っている感じが面白く,「深淵を覗くとき,......」なアレを感じますよね。主人公組がだんだん現実(表世界)と裏世界との境界を曖昧にしてきている描写が,気が狂っては正気に戻る,を繰り返しながら示されていっています。とはいえまだ理性を保っていることを示したいのか,この巻では人助け的ストーリーの短編が多かったですね。といいながらさらっと銃を補充してるのは気が狂っている証左なのかも知れません,しらんけど。

 ただ,どうしても半端に百合っぽいのがどうも自分にはこそばゆい。自分は百合が好きであり百合が嫌いという,それはまぁ面倒な性癖を持っているのですが,これはあまり好きでは無い方の百合です。個人的には,もっと互いに傷つけ合って,「愛」だの「好き」だのが漸く直接言えると思ったら既にその関係性は歪みきっている,みたいなのが好きです。よく言う「好きだから傷つける」ってやつ。この「傷つける」は,精神的なものを主として多少は身体的なものを伴っているととても良い(さらに言えば傷つけられる側はそれが純粋な「愛」でないと気付いていながら自身の負い目から笑顔でそれを受け入れている,なんて感じだとなお良い)(ニチャァ)。だからきらら系の作品はそれほど好きでは無いけれど,『コスモファミリア』が好きなんですかね。百合の最終形態は互いが互いで無くなる(合一してしまう)のが理想です。マジでキモい。

 話がアンドロメダ銀河まで飛んで行ってしまいましたが,やはりこれが好きなら

『物語』シリーズ/西尾維新

は必読ですよね。怪異譚をテーマにした作品はもっとあったはずなんですがどうにも思い出せない。記憶力がゴミカスになってしまいました。

 

 それでは。

読書備忘録2021-4『裏世界ピクニック』/宮澤伊織

 異世界系,好きなんですよね。まだ異世界転生ものには手を出していないのでそっちにハマるかどうかは分かりませんが,とりあえず『幼女戦記』は好きです。

 さて,前々から気になってはいたこのシリーズを漸く読み始めました。世事に疎いので,書いている今,アニメ化していたことを知りました。話の内容としては,都市伝説をフィーチャーして,そんな怪異が跳梁跋扈する異世界で冒険する(?)作品です。「くねくね」とか「きさらぎ駅」とか有名どころを元にアレンジしている感じ。主人公二人組が異様に百合っぽくなるのは昨今の流行ですかね。個人的にはあまり好ましくないと感じてしまう。話が少し逸れましたが,これらの都市伝説をギミックの要素として用いて「裏世界」というものの本質に少しずつ近づいていくような,そんな構成になっています。ただ,この手の設定をどこかで見たような気がするんですよね。この作品の解釈とはちょっと違いますが「怪異は本質的に怪異であり,人を恐怖させることによってのみ存在し得る,だから存在のために恐怖を与え続ける」的な。うまく思い出せないですが。

 さて,これが好きな人は

『物語』シリーズ/西尾維新

とかが良いと思います。良くも悪くもポップで軽いです。最近のハヤカワそういうの多いですよね(これは罠で,自分の読む本がそっちに偏っている)。

 

 では。

読書備忘録2021-3『満願』/米澤穂信

 良い感じのペース(年100冊ペース)で本を読めていますね。いつまでこの勢いが続くのか......。マンガはここには書かないことにしているのですが,『ゆるキャン△』と『キルミーベイベー』を読み漁っています。『ゆるキャン△』の5巻めっちゃ良かったっすね......。

 さて,これは米澤穂信の短編集です。短編集ですが,いわゆる連作と言うやつで,テーマ(多分「人の暗い部分」とかそんな感じだと思います)に沿っていくつかの話が収録されています。こういう系の本って,ともすれば「どう関連しているんだ?」とか「一話当たりがあんまり面白くないなぁ」などの感想を抱きがちなのですが,そのあたりはやっぱり米澤穂信,ミステリー的な楽しみで良い感じに繋いでいます。『インシテミル』とかそういう系ですね。自分自身,米澤穂信との出会いが『インシテミル』なのでこういうスタイルが落ち着きます。まだ『氷菓』シリーズを読んでいないので早く読まないといけない気もしますが,あれはアニメで充分かなぁと思っている自分もいます。ネタバレを避けようとすると漠然とした感想になりがちなのはもうどうしようもないので許して欲しい。

 さて,これが好きな人は

インシテミル』/米澤穂信

なども読んで欲しい。

 

 それでは。

読書備忘録2021-2『青年のための読書クラブ』/桜庭一樹

 2021年の2冊目ですね。ペースが遅いので上げていかないと今年も100冊無理だぞ??(『皇国の守護者』はぼちぼち進めており,シリーズ読み終わってから書く)

 さて,桜庭一樹は中坊時代に『GOSICK-ゴシック-』を読んで以来の付き合いです。この人だけは文章に少女漫画を感じるんですよね。これは本当になぜだかわからないんですが,ずっと画面端に薔薇が写っている感じ。テーマ設定もそれっぽいのかしらん。これは,ある架空の学園についての歴史を辿っていく連作小説という感じで,後になるほど様々がつながっていく感じが気持ちいいです。やはり短めの作品が一つのテーマ性を持ってつながっていくのが好きなところがあります。

 さて,これが好きな人は

『ブルースカイ』/桜庭一樹

も好きですね。というか桜庭一樹は本当に外れが無くて良い。

 

 では。

 

読書備忘録2021-1『【自己紹介】はじめまして、バーチャルCTuber真銀アヤです。』/草野原々

 明けましておめでとうございます。新年一冊目の読書備忘録です。新年になったということで,せっかくなのでナンバリングをリセットして,2021年のn冊目,という感じにしました。これでその年の読書数が分かるってもんよ,ガハハ。......いつまで続くか分かりませんが。

 さて,新年最初はこの一見「???」という感じのタイトルから。作者を見て分かる人はきっと分かるでしょう。悪いオタクの本です。ショートショートほどでは無いにしろ,かなり短いのでサクッと読めます。いきなり世界観の説明もなしに,読者を置いてけぼりにするかのような展開を詰めてくるのは流石という感じ。前半で「CTuberってなんやねん」となりますが後半で分かってくる。書きぶりは,ショートショートほどの短めのパッセージを断章みたく書き連ねていくもので,円城塔をかなり意識してそうな感じがします。まぁ悪いオタクっていうのは円城塔が好きがちなので分かります。それを思うと,個々の設定や小道具も円城塔っぽく見えてきて笑ってしまう。それも含めてやっぱり草野原々は好きですね。あと,小ネタとして『大進化どうぶつデスゲーム』の小道具の断片が出てくるのでこっちを知ってるとなおクスッとできる。

 この本が好きな人は

『道化師の蝶』/円城塔

『後藤さんのこと』/円城塔

あたりも好きそうですね。自分はあまり○○パンクに詳しくは無いのでアレですが,スチームパンクっぽい小道具もあったのでそういうのが好きな人もちょっと読んでみると良さそう。

 近況報告ですが,なぜか年末年始に積ん読増殖バグを引き起こしてしまい,積ん読が40に達しました。幾分かはマンガも含まれているのでそれほど大変ではないはず,と思っていますが,2021前半までには片付けたいものです......。

 それでは。

2020年bilibili動画ボカロ10選

 ども。bilibili動画でしかボカロ曲を漁っていないnaamって言います。せっかく年末なので,今年bilibili動画に投稿された中国ボカロ曲で10選をやろうと思います。レギュレーションとしては,向こうのぼからんと同じく,VOCALOIDエンジンを用いて歌唱を作成したボーカルが入っているものです。Synth Vなどのみは省きますが,デュエットはセーフってことで。ではやっていきます。

 

1. 万古生香【2020拜年祭单品】

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最近自分が言い続けている「国風音楽」系統からまずは一曲。国風のVOCAROCKです。リフのメロなんかはBPM遅ければ演歌にもなりそうなクサさがたまらない。ブリッジミュートを駆使してリズムを刻む感じなんかもVOCAROCKっぽい。

 

2. 【洛天依原创曲】我只愿爱你

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日本のボカロシーンじゃまず見かけない感じの曲。ジャンルがよくわからないんですが,キックのパツパツした感じとかスネアの軽めの音,ドロップの盛り上げ方とか,めちゃくちゃカッコいいです。

 

3. 【洛天依原创】我的悲伤是水做的

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ちょっとジャジーな感じ。自分はゆるだるミュージックという分類をしています。全体的にちょっとけだるい感じで,フォーリーとかチャカポコしたのとか気持ちいいです。間奏のトランペットがめちゃくちゃ良い。

 

4. 【言和角色歌】万言歌【2020言和生日应援】南亭阙

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たぶんFutureBassです。中国の楽器をふんだんにつかっており,ドロップでベースがモリモリ動くのが良いです。ボーカルの言和の声質もピッタリはまってて心地よい。

 

5. 【洛天依乐正绫言和墨清弦原创】创作者们的哀歌《塔与少女的无题诗》【αrtist5系列】【依溪禾、雨狸】

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これも日本のボカロシーンじゃまず見ない感じの曲。全体的にEpicで,圧倒的な奥行きがあり,ストリングスもパーカッションもすべてが映画音楽みたいに決まっています。Kalafinaとか好きな人はきっと好きだと思います。

 

6. 【洛天依原创】心碎烧酒

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往年のボカロ曲の雰囲気があり,めちゃくちゃ懐かしい気持ちになれます。アコギのアルペジオから入って,アコギの刻みとピアノの掛け合い,エレキも絡んできて,と正解の展開ばかりしています。この時代にこんな曲を作るのか,という気持ちはありますが,40㍍Pとか一時期のDECO*27とかが好きな人には絶対に刺さる曲。

 

 

7. 【初音未来】夏日!蓝白!波纹!【NINE】【Music Only】

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シティポップとかの系統なのかなぁと思うんですが,コード楽器とか刻み方から部分的にFutureBassっぽさも感じます。クラブ系の曲を作る人がシティポップみたいなのを作るとこうなるのかぁ,という気もします。

 

8. 【初音未来】39 MAGIC【Official宅男】【原创pv付】

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同じくシティポップ風味を感じる曲。ただ,こちらは展開の随所にジャズっぽさなんかも混ざっており,作者の幅広いバックグラウンドを感じます。投稿者の「official宅男」はなんなんだ,という感じですが。

 

9. 【洛天依原创】星愿存念「生愿还恋」Project【ft.徵羽摩柯】【十宫·TSAR·萤失Hinano·然然复然然】

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これもFutureBassっぽい感じでしょうか。TSARという人は向こうのAu5みたいな人なんですけれど,めちゃくちゃ曲作りが上手く,これもクラブ系なんだろうけどしっかり歌も入ってくる構成になっていてすごいです。動画がめっちゃ夜行性ハイズっぽいのは何なんだ......。

 

10. 【洛天依原创曲】万分之一的光

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今年のボカロ曲で一番良かったのは『ステラ/じん』なんですが,その次がこれです。公式の誕おめ曲ということで動画もめちゃくちゃ凝ってます。アコギやストリングスのからみ,2番サビあとの転調,ギターソロ,落ちサビ,すべてがポップスとして決まってます。じんとかryoとかポップスを作るボカロPの曲が好きなら絶対に刺さる曲です。

 

というわけで2020年のbilibiliボカロ10選でした。図らずもChiliChillさんという方の曲が3つも入ってしまったのですが,本当にいい曲を書く方なのでめちゃくちゃオススメしています。

 さて,日本でbilibiliボカロを定期的に掘っている人があまりにも少なくて嘆いているのですが,これをきっかけにして多くの人がbilibiliの曲にも親しんでほしいなぁ,という気持ちがあります。昔のbilibiliは転載ばかりでこれといって特徴もクソもなかったらしいですが,今では日本のニコニコと同じように一大プラットフォームになっています(まだ転載は大量に存在しますが,日本などの曲は無視してしまえばいいだけなので)。日本からも多くのボカロPが進出していますし,怖い場所ではないので,ぜひみなさまもbilibiliを覗いてみてください。